A. 契約書は、書類の中でももっとも重要なものであり、本来は、事前に契約書の内容を一言一句チェックして、わからない点などがあれば、きちんと確認してから契約書を交わすべきです。しかしながら、甲南大の新入生の住まい探しの場合には、重要事項説明を経て、すぐに契約書への署名・捺印するケースが多く、事前のチェックもできませんし、その場で時間をかけてゆっくり内容を点検することも事実上不可能に近いのです。
そこで、生協が直接家主から登録を受けている物件では、「生協仕様」の契約書を使用していただくようにお願いしています。
生協仕様の契約書は、一般の契約書によくある「家主に一方的に有利な契約書」ではなく、兵庫県宅地建物取引業協会が推奨しているモデル契約書を基にしたものであり、どちらの立場も考慮したものとなっています。
一般業者から提供を受けた物件では、業者独自の契約書を使用するケースが多いのですが、甲南大生の住まい探しの実情に鑑み、「たとえどのような記載がされていても、借主に一方的に有利な規定は生協として認めない」というスタンスで、トラブルが発生したときには対応しています。(借主に一方的に不利な内容である場合には、修正・善処を求めています)
A. 敷金は契約から生じる様々な債務を保証するために、家主に預けておくべきお金です。敷金の返還の取り決めは物件ごとに違うのが普通です。また、敷金については、借主の未払い等がある場合に、借主側から「敷金から差し引いておいてください」というような要求をする権利は認められていません。
保証金は建物の賃貸仮契約時に、借主から貸主に差し入れられる一時金の一種で、借主の賃料不払い等の債務不履行や賃貸物件の損傷等を担保します。基本的には解約時には全額返還される性質のものですが、敷引き金額をこえる部屋の補修費が必要な場合、差し引かれることもあります。
A. 退去時にあらかじめ合意の上、一定額を敷金・保証金から必ず差し引かれる額。
A. 入居時に家主さんに納める家主さんの取分(敷引がない場合が多い)
A. 貸主と借主の間にたって取り引きするものをいい、仲介ともいいます。
A. 物件を借りる権利を独占するために貸主に支払うお金。通常家賃の一カ月分が相場。借り手の都合でキャンセルした場合は返金されません。手付金は契約後、契約代金の一部として組み込まれます。
A. 万一の場合、賃借人に代わって債務を履行するために立てるべきもの。生協では保護者の方にお願いしています。
A. 通常、賃貸借契約は2年契約が多く、契約更新時に必要となるお金。生協では、ほとんどの物件が無料です。
A. 仲介手数料は法律で最大で家賃の1ヶ月分(プラス消費税)と決められておりますが、甲南大生協では、組合員割引があります。
もし万一、それより多額の金額を請求されたり、別の名目で請求されるようなことがあれば明らかに業法違反です。ご注意ください。
A. 共同住宅における、共有部分の光熱費・衛生費などのこと。通常月極の一定額の方式をとるが、家主によっては賃料に含める場合もある。女子学生会館などでは水道料金等は含まれる場合もあります。
また、共益費については契約書の中で「階段、廊下などの共有部分の維持管理に必要な光熱費、上下水道使用料、清掃費等に充てる」などというように、どういう部分のどういうものに対して支出するのかを明記していることが普通です。しかし明記している契約書はいいほうで、共益費等の明細を一切明記していないものもあります。その場合には、共益費に何が含まれているのかを予め確認しておいたほうがいいでしょう。
A. 契約書の中で、一般的な契約事項に付け加えて、特約事項として特別に禁止したり制限を設けたりしている場合があります。これらの主なものについても一応は知っておきたいものです。
このように厳しい禁止事項を設けている場合、家主サイドからすれば、「大事な子供たちを預かっているから、何かあったら大変だ」というような理由で、そうした禁止事項を設けていることが多く、「家主が悪い」というわけではないケースが大半です。しかし家主の世代と現代の若者の世代間には、その考え方に大きなギャップがあることが普通です。
A. 修繕と原状回復に関する事項については、ときどきすべての修繕を借主の責任に押付けるような契約事項が記載されていることがあります。
借主にすべての修繕義務があるように記載されている契約書であっても、通常は単に家主の修繕義務を回避しただけのものであるとされており、裁判などでは家主側の主張はまず認められません。
しかし例外的に契約手続き時に、家主がきちんとその旨を説明し借主が承諾していれば、有効な規定と認められるという判例も存在しています。ただし、学生の住まい探しの場合には、家主がきちんと説明し借主がその点を正確に理解する時間的な余裕はないため、もし万一訴訟になったとしても家主側の主張が認められるケースは少ないでしょう。
基本的な考え方としては、「大修繕は家主の責任、小修繕は借主の責任」というのが原則です。
大修繕というのは、
であり、費用もかなり多額になることが多いものです。
入居者の責任ではない原因による風呂釜の破損や雨漏り、エアコンの故障などが挙げられます。
これに対して、小修繕は、
など、入居者の生活による消耗品の故障や不具合に原因があるような修理、修繕です。
費用も少額なため、入居者の責任によって修繕すべきものとされています。
原状回復と関連して、借主にハウスクリーニングの費用負担を求めるような記載が入っていることがあります。本来は家主サイドで負担すべきという考え方もありますが、借主側が負担しているケースが圧倒的に多いのが現実です。本来の姿と現実があまりにもかけ離れているため、裁判事例などによれば、次の要件を満たしていれば、ルームクリーニング費用の請求もやむをえないという妥協的な考え方をしているようです。それは、
ワンルームにおいては、通常2万〜3万円以内におさまるはずです。
いずれにしてもそういう名目で請求される場合は、明細をきちんと説明してもらったほうがよいでしょう。